映画『太陽の子』

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「映画の力でみんなを元気に!」完成披露上映会舞台挨拶レポート

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このたび、本日7月7日(水)に完成披露上映会が開催し、主演の柳楽優弥始め、有村架純、國村隼、黒崎博監督を迎えての舞台挨拶が行われました。本作の上映は今回が初めて!熱のこもった満席の観客に温かく迎えられ、終始和やかなムードでイベントをレポートいたします。

世界初お披露目となる完成披露。満員の観客で熱を帯びる会場にキャスト達が登壇すると、会場は待ちに待ったと言わんばかりの大きな拍手で迎えられた。

 

本作の主人公で原爆開発という極秘任務に情熱を燃やす京大生の科学者・石村修を演じる柳楽優弥は「本日はお客様がたくさん入った上での舞台挨拶ができて嬉しく思います!」と久々に満員となった観客に喜びと緊張をにじませながら挨拶。

続いて、夏らしい涼し気なドレスをまとった有村が、「2年前に撮影をして、本日無事に完成披露を迎えることができてとても幸せに思います。この2年の間で本当に色んな事が起きて、環境も変わりましたが、改めてこの作品を見て頂いて、考え方を見直すきっかけになればいいなと思います」と月日の流れに触れながら、本作をアピール。

そして、日本の原子物理学の第一人者で、修たち京都帝国大学研究チームの若者たちを戦争から守りながらも、学生たちを優しく導く存在となる荒勝教授を演じた國村は「公開がいまのタイミングになったのは何か巡り合わせを感じています。戦争とコロナパンデミックの違いはあれど、どちらも個人の力でどうにもならないですよね。そんな時代を生きた修と、そんな時代を止められなかった私が演じた荒勝と、というお話です。こんな時にこの映画を見て頂くと別の感じる方があるかも」とコロナ禍の今と映画の不思議な巡り合わせを語った。

10年以上もの長い期間、膨大なリサーチの上で作り上げた映画がついに完成を迎えた黒崎博監督は、「とても感激しています。10数年前にある科学者が書いた日記の断片を見つけてこの企画がスタートしました。出演者の皆さんが、映画が形になる・ならないのせめぎ合いをしていた時に“絶対にこれを実現させよう”と背中を押してくれたました。僕にとっては本当に大事な仲間であり、この映画にとっての恩人でもあります」と長年情熱を注ぎ続けた本作の完成に感謝の気持ちを語った。

 

かつて存在した“日本の原爆研究”。10年以上もの構想期間を経て、その事実を映画化した本作。黒崎監督がMCからその“構想”について聞かれると「当時はまだ原子核が分裂する、そしてその分裂から膨大なエネルギーが取り出せるという事実だけは知っていたけども誰も目にしたことがなかった時代。その未知の学問に取り組む若者の日記には勉強のことだけでなく、好きな人の話とか、友達とこんな話をしたとかも書いてあり、等身大で生きる若者の姿が昔話としてではなく、自分の目の前に浮かび、これを物語にしたい思い脚本を書き始めました」とその運命的な出会いを振り返る。

その熱い思いを受け止めた柳楽は「脚本を読んで素晴らしいと思ってすぐに参加したいと思ったんですけど、実際に(原爆の)研究を重ねていたという事実を知らなかったし、日本と戦争したアメリカと日米の合作映画になると聞いて、簡単に『やりたい』というよりは、覚悟を決めて参加しました。僕や架純ちゃん、春馬くんのような30歳前後の若い俳優がこのテーマの作品に参加して、また若い世代に伝えていかなければと思いました」と本作に参加する上での覚悟と意義を明かすと、有村も「この話を世の中に送り出した時にどうなるんだろう」と感じた一方で、「黒崎さんが10数年かけて作り上げた企画。「ひよっこ」で1年以上共に過ごさせて頂いて信頼している監督でしたので、ぜひ一緒に挑戦させてくださいとお話を受けました」と監督との信頼関係が出演の決め手だったと明かした。本作で唯一実在の科学者である荒勝を演じた國村は「もし日本が先に開発に成功して原爆を落としていたらどうなるんやろう?と色んな妄想を膨らませながらも、それくらい歴史的に大事なことが含まれていると思いながら脚本を読みました」と本作に込められた思いを汲み取り、重要な役割を引き受けることを決めたと振り返る。

 

戦争という時代の中で等身大で生きる若者たちの青春の日々を描いている本作。柳楽は本作で印象的なシーンについて【海のシーン】を挙げた。「とても難しいシーンで。海に入るので衣装や日差しの関係もあり“1テイクじゃないと、一発OKじゃないと”という緊張感がありました。裕之を助けに行くシーンなんですけど、前日にしっかりとみんなでリハーサルをして、映画の撮影シーンですが、舞台の初日の本番前みたいな。実際本編でもそういうシーンを見て、ものすごくいいシーンになったのはやっぱりあの緊張感があったからだからだっていうのは、達成感として、とても印象に残っています。春馬君とは十代前半から一緒にオーディションをしたりするような仲だったんですけど、戦友というかライバルというか、今回の兄弟のような関係で色々関わらせてもらって。春馬くんがこの作品に愛を持って参加してくれたように、僕自身も、みんな参加したメンバーで春馬君をこれからもずっと愛して大切にしていきたいなとそう思える大切なシーンです」と一度きりの撮影に込められた想いを明かす。

続く有村の印象的なシーンは、主人公の修と弟の裕之(三浦春馬)がほのかな思いを寄せる幼馴染・世津(有村)の3人が【縁側で未来について語り合うシーン】「柳楽さんと春馬さんとは自然と幼馴染という関係性ができていて、作品自体は戦時下で厳しい時代ですが、撮影はとても穏やかな雰囲気でした。もしかしたら3人で会える最後の夜になるかもしれない切ないシーンですが、未来に対する望み・思いが詰まったシーンになったかなと思って、台本にはなかったのですが、ふたりの手を握らせてもらったんです。言葉じゃない、人間の温かさ・温もり・温度が伝わればいいなと思って提案させていただきました」と劇中の印象的なシーンのアドリブを明かす。その提案を受けた黒崎監督は「有村さんが時に本能的なお芝居をされることを存じておりましたので、びっくりはしませんでした(笑)ほんの少しですけど肌と肌が触れ合って、温もりを交換しあうことがどれだけ大事か伝わるシーンになったと思います」と有村との信頼関係の上になりたったワンシーンだと感慨深く振り返った。

さらに若い登場人物が多い劇中で、未来を奪う戦争から未来を築く若者たちを守る“大人”としての役割も担った國村は「(時代が)戦争に突入していく状況しか知らない若者に、戦争に突入する以前の日本を知っている大人は“いつか終わる”ということが分かっている。(実際の荒勝は)終わったあとに一度つぶれた日本を立て直す大事な人材を守りたいと考えていたと思う」と役に込めた思いを語った。

 

舞台挨拶当日が七夕ということにちなみ、それぞれの「願い」を特別短冊形フリップで発表。まず黒崎監督が【映像の力が世界中の人に届きますように!】と映画監督としての思いを存分に詰め込んだ日米合作の作品が日本だけでなく世界に羽ばたくように、と願いを明かした。続いて國村が“いま一番欲しいもの”と前置きして【やすらぎ】と発表。「毎日毎日ストレスが多いですよね。考えたらやすらぎがないなぁ・・・と思ってお星にお願いしました」と語ると、続く有村は【安心・安全な世界が訪れますように】と願い事を発表。「いつになったら何も心配事なく、世界の人たちが平和に暮らせるのだろうか、っていうのは永遠のテーマだなと改めて思います」と長引く世界の混乱の先の“未来”に思いを馳せる。最後は柳楽が【映画の力でみんなに元気を。】と願い事を発表すると会場からは大きな拍手が!「予期せぬことが起きていく中で、心を強く持って、中でも映画やエンターテイメントに支えられてるなと感じる時があるので。僕は映画が好きですから、映画の力で皆さんに元気が与えられるような作品に参加して、前向きな力を与えられるような俳優になりたいと思っています」と映画愛を力強く語った。

 

舞台挨拶の最後に柳楽が締め括る「こういう時期にも関わらずお越し頂いたことに感謝しております。この状況で、この作品が公開されることにすごく意味を感じます。第二次大戦中に懸命に生きてきた人たちから得る生きるヒントのようなものを感じて頂けたら嬉しいと思っています。とても意味のある映画ができたと思います!」

 

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